助からない子ども。
それでも必死で助けようとする人。
両方知っているからこそ、動き続ける。

佐藤 抄 (さとう しょう)
事務局長
2002年 ファッションモデル事務所に就職。 モデルのマネジメント
2007年 アートカンパニーに就職。 アーティストマネジメント、美術展企画運営、広報など
2011年 東日本大震災のボランティアに参加
2011年 ジャパンハートに入職。 事務局運営のすべての業務を歴任
2017年 ジャパンハート事務局長に就任

何かできると思って参加したボランティアで、
自分の無力さを思い知った。

2011年、東日本大震災の発生直後の4月。 仕事を休み、ジャパンハートが活動する東北の被災地へ10日間の調整員ボランティアとして参加しました。 当時のジャパンハートはまだ極少人数体制で、ほとんどが看護師の組織でした。 そこで出会ったのは、ボランティアの受け入れや被災者支援に追われ、寝る間もないほどギリギリで動く看護師たち。 こちらが話しかけるのを躊躇するほどでした。 ギリギリの現場を目の当たりにしながら、当時の自分は何もできなかった。 自分には何かできることがあると、信じて行ったボランティアだったはず。 しかし思い出すと今でも辛い気持ちになるくらい、自分の無力さばかりを知った、10日間でした。 ボランティアの送迎や食事の準備など、できることはやった。 「来てくれてありがとう」とも言われた。 それでも、自己評価としては何かが違う。 あのときの私は、何もできなかったとしか感じませんでした。

正しいことをする人が報われる世界を、
自分がつくる。

東北でのボランティア経験は、できれば思い出したくないこと。 なのに、今でも蘇るシーンがあります。 地元の有力者らしき人が、突然ボランティア本部にやってきたときのことです。 「医者もいないのに看護師だけじゃ何もできないだろ!」。 そう、当時責任者をしていた看護師に強く詰め寄ってきたのでした。 対応した看護師は、悔しくて涙を流していました。 でも泣いているだけではありませんでした。 「私たちにはこういうことができる」「看護師の力を信じている」。 泣きながら必死に言い返すその姿を見て、ああ、この人たちは自分の仕事に心から誇りを持っているんだ、と感情を動かされました。 そして自分は、こんな人が、きちんと報われる世界をつくりたい。 と強く感じました。 今でも決意として持っています。 ちょうど当時のジャパンハートは、寄付金も増え、組織として大きくなり始めた時期。 顧客情報管理や書類整理といった事務系の仕事が必要だったこともあり、必死に動く私の姿を見てくれていたのか、声をかけてもらい入職に至りました。 迷いはなかったです。 衝動的に、といってもいいくらいの決断だったと思います。

ボランティアの、イメージから変えていけ。

それから、様々な仕事を経験しました。 総務、広報、秘書、事業部長。 組織づくりや仕組みづくり。 コロナ禍の水際対策でカンボジアでの医療提供ができなくなる懸念があったときはすぐ現地へ飛びました。 現在もカンボジアで新病院の設立に向け準備をしています。 だいたい、海外(カンボジアやミャンマー)と日本を1ヶ月ごとに行ったり来たりしています。 最近とくに力を入れたいのは、医療者のジャパンハートへの参加が肯定されるような仕組みづくりです。 ボランティアは偽善とか、報われないと、言われることがあります。 なかなか現在の職場を離れづらい、病院の文化や仕組みもある。 どうしたらイメージを大きく転換できるだろうか、どうしたら病院が医師や看護師を積極的にボランティアへ送り出せるだろうか、日々考えているところです。 参加したいと思った人が迷いなく参加できるよう、後押しできる仕組みをつくりたいです。

世界を少しよくできたら、
その分誰かを救えているはず。

結局、私はジャパンハートを通じて何を実現したいのだろうと、よく考えることがあります。 多分、生きていてよかったと、一人ひとりの人が自らの人生を肯定できる世界をつくりたいのです。 少し軽い言葉で言うなら、世の中の幸せの総量を増やしたい。 もっと大きなことを言うなら、「人間」そのもののいいところを見つけたいのだと思います。 悲しい歴史を見ればきりがありませんが、それでも、人間の光の部分を見つけることが、自分にとっては、結局(人間である)自分自身の存在価値を実感できる唯一の方法なのだと思います。
ただ幸せ(ハッピー)を増やすだけなら、医療の枠にとらわれることなく、本来は何でもいいのかもしれません。 美味しい料理を提供するとか、アートでも、音楽でもゲームでも。 しかしそれらをそもそも楽しめない、病気で亡くなってしまう子どものいる事実があります。 助からない子どもたちを目の前で見ているから、助けようと思う。 助けようと必死になっている医療者を見てきたから、支えたいと思う。 自分のできることを、探し続けています。 目の前で子どもが亡くなるのは、悔しさも情けなさもあります。 でも必死にできることをやれば、1年後には同じような子どもを救えるかもしれない。 少しずつ、世界はよくできるはずです。

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