人間が感じ取ることができる周波数は、約20000Hzと言われている。 それが、10代で18000Hz、20代で16000Hzとなり、50歳を過ぎればどんどんと下がって、若い頃の3分の1になる。 僕はこれが、皮膚の感覚、嗅覚、味覚、視覚など、すべてのことに当てはまると思う。 あらゆる感度が、年齢とともに落ちる。 だから、若い時、すなわち感度の高い時期により多くの経験を積んでおくことが、その後の人生により大きな変化をもたらすことになると考えている。

仕事でもスポーツでも何でも、「量から生み出される質」というものがある。 若くて感度の高い時期に、ワークライフバランスだけを大事にして、毎日8時間きっかりの仕事で終えるような生活をしていては、「量から生み出される質」を得ることはできない。 医者を例にしてみよう。 経験の「量」が十分でない内は、生まれつき器用な人とそうでない人で、手術の上手い下手に差が見られる。 しかし、ある程度の「量」が積まれてくると、やがて手術結果にはほとんど差がなくなり、器用・不器用の差は誤差になってくる。 これが、「量から生み出される質」だ。 「質」だけを意識して「量」を放棄すると、そこには至らない。

さらに莫大な「量」が積まれてくると、今度は「個性」が発露するようになる。 独自性が生まれ始める。 「個性」が開花したとき、世の中により必要とされる存在になることができる。 ただそれは、「量から生み出される質」を得てからの話だ。 だからこそ若い内は、「量」を積み重ねながら、高い感度を活かして、様々なことを経験し、吸収するべきなのだ。

こんな時代だから、あらゆる経験は自分で選択していかなければ手に入らない。 僕はそれを「感性の声」に従って選択していることが多い。 自分がこれだと思う未来というのは、自分の脳がいちばん直感的に理解していると感じるからだ。 「感性の声」は誰もが持っている感覚だが、瞬間的にしか発露しない。 そして、すぐにそこに「理性の声」が覆い被さってきて「それは正しいのか、現実的に考えたら難しいんじゃないか」と、理屈や損得を考える頭が働き出す。 「感性の声」を否定してくる。 けれど自分の人生を振り返ってみれば結果的に、「感性の声」に従って生きる方が、理性の声に従って生きるよりも遥かに、人生が豊かになったと確信できる。

東日本大震災やコロナを経て、特に若い世代の人たちを中心に、お金以外の価値を求めて行動する人が増えたと思う。 ジャパンハートにも、社会的意義や日々のやりがい、そして自分の存在価値を求めて、本当にやりたいことをやろうと決意した多くの方々が訪ねてくるようになった。 もし次に世の中を揺るがすような大きな非常事態が起こったら、その時こそ、今の世の中の価値観はいよいよ完全に変わってしまうだろう。 その時には、ジャパンハートのような組織により多くの人たちが集まってくると思う。

どんなときも自分の人生から逃げない者は、高い人格と深い知恵、そしてかけがえのない経験を手に入れることができる。 僕が若い頃、つまりバブルの頃は、何の疑問も抱かずに「お金持ち」になって、美味しいものを食べ、いい車に乗って、いい家に住める人生に憧れ、満足して生きることができた。 しかし、今はそれでは本当に幸せにはなれないと感じていないだろうか?これからは特別な経験こそ、お金以上に価値を持つようになる。 お金を持っている人に若者たちは憧れたが、特別な経験をひたすら積み重ねている人が尊敬されるようになる。 だからこそ、若い時間は特に、経験のためにお金を躊躇なく使えるようにするのだ。 それはやがて時間をかけて、あなたの血肉になり、あなたの人生を豊かにしてくれるだろう。 今、僕はどこに行っても、どんな人と会っても、大切にされていると感じている。 いつも”give”する感覚をすごく大切にしてきた。 短期的にはgive and takeするという思考を捨て、常にgiveを意識し、takeではなく”given”される感覚を大事にしてきた結果なのだろう。

これから先も、僕は死ぬまで変わらず、この道を行くことになると思う。 あなたがジャパンハートの仲間になってくれるなら、どうか「想像力」を働かせて、自分のできることに全力で取り組んだ先にある、世界の姿を想像してほしい。 その世界は、あなたが存在したことで少しだけよくなっているはずだ。 現場にいると毎日向き合うのは、人の人生や人の生死。 いつも、目の前の一人、そして家族がいる。 共に働く者は、たとえ働く場所や分野は違ったとしても、その感覚を共有してほしい。 患者が命を落としたときに傷つくのは、その患者の家族たちであり、何より患者本人なのだから。

自分の仕事のすべてが命につながっているという誇りを持って、共に働いていこう。
ようこそ、ジャパンハートへ。

ジャパンハート創設者
吉岡 秀人

Profile創設者 吉岡秀人

1965年8月
大阪府吹田市生まれ。 大分医科大学(現 大分大学医学部)を卒業後、大阪、神奈川の救急病院で勤務
1995年~1997年
ミャンマーにて医療活動に従事
1997年~2001年
国立岡山病院勤務小児外科医師
2001年~2003年3月
川崎医科大学勤務小児外科講師
2003年4月~現在
再びミャンマーにて医療活動に従事
2004年4月
国際医療ボランティア団体ジャパンハート設立
2017年6月
特定非営利活動法人ジャパンハート最高顧問就任
2021年12月
「第69回菊池寛賞」受賞
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