15年で、人と組織は変わった。
人と組織を育てれば、救える人もずっと増える。

神白 麻衣子 (こうじろ まいこ)
医師/医療事業責任者/ジャパンハートこども医療センター 院長(カンボジア)
プライマリケア・感染症内科医/ジャパンハート認定医
2007年 ボランティア医師(ミャンマー)
2009年 タイマヒドン大学DTM&H
2009年 ボランティア医師(カンボジア)
2011年 理事就任
2016年 長期ボランティア医師
2018年 スタッフとして入職、カンボジア病院事業責任者

必死でやれた。 やるしかなかった。

ボランティア医師として活動に参加し始めた2007年。 ジャパンハートはまだ、手づくりの団体でした。 当時は吉岡先生と、あとは看護師がほとんど。 医師はほんの数人しかおらず、スタッフはいない時期です。 とにかくモノがない、通信もない。 組織を運営していくための制度も仕組みも、今ほどの安全性も透明性もありませんでした。 組織としてのあり方に意識を回せないくらい、目の前のことに必死でした。 なんとか一人でも多く助けるため。 持ち場に関係なく、吉岡先生に怒られながら、その場でできる最大限のことをやるしかなかった。 全力で取り組む醍醐味がある一方で、必死に食らいついていける人しか残れない環境だったと思います。

以前なら助けられなかった命は、
組織みんなで助けられる命になった。

それから15年以上が経ちました。 ジャパンハートの最も大きな変化は、現地医師や若手医師の成長に感じます。 これはカンボジアの、真夜中の病院での話。 入院中であった小児がんの子どもが、お腹の中で出血したのです。 吉岡先生は、その晩は所用で病院を離れていました。 しかしすぐにでも対処しなければ、その子が出血多量で亡くなってしまうのは明らか。 そこで動き始めたのは、現場にいた現地人と日本人のふたりの若手医師でした。 同じく現場にいた若手看護師を集め、彼ら彼女らは自分たちだけでも緊急手術を開始したいと私に言ってきました。 吉岡先生が到着する前に出血点を見つけて血を止めるだけでも自分たちで先に行いたいと。 私は、彼らの判断にゴーサインを出しました。 すぐに手術が始まり、結果、その子は助かりました。 とても怖かっただろうと思います。 判断を誤れば、子どもが亡くなってしまうかもしれない決断でした。 それでも、自分たちでやろうとした。 昔だったら、若手医師がここまで対応できただろうかと私は過去のジャパンハートを振り返ります。 今のジャパンハートだからこそ、チームの力で救える命がある。 現地医師や若手医師の育成をやってきたからできたことです。 人を助ける喜びは、もう自分だけのものじゃない。 若手のみなさんが成長すれば、みんなで同じ喜びを共有できるのだと感じました。

10人救える人を、10人育てる。
そうすれば、100人の人が助かる。

若かった頃は、自分のやりたいことやまだできないことに関心がありました。 もっといろんな患者さんを助けるため、自分のできることを増やしたい。 関心の多くはそこでした。 けれど若手の医師ふたりが自分の判断で開腹手術を行った出来事を経験して以降、人やチームを育てることへの関心が私の中でいっそう強まったと感じます。 私が目の前の人に全力を注げば、その瞬間、ひとりを救うことはできます。 でも、私が医者としての知識や技術、マインドセットを10人の医師に伝え、その10人がそれぞれ10人を救ったら、100人救えます。 次のジャパンハートは、人を育てることで、救うことのできる人間を増やす時期。 現地の方や若手の方とともに、手を取り合っていきます。

手段は変えながら、国際協力の道を進む。

子どものころ、クリスチャンである母の教えで、クリスマスなどの前にはおやつを我慢していました。 我慢したぶん、教会を通して遠くの誰かに寄付できたからです。 その経験により私は、世界には恵まれない人がいることを小さい頃からより身近に感じていたのだと思います。 そして、自分の想いや行動次第で、世界のどこかで困っている人の助けになれるといつしか思っていました。 国際協力についての、私の小さな原体験です。 大人になり、医師として働く今も、国際協力をしたい気持ちは変わりません。 手段は、そのときどきで変わってもいいのだと思います。 これからの私は、国際協力の一環として、現地人材や若手の育成に力を注いでいくことになるでしょう。 国際協力の舞台に立ちたい。 目の前の人を助けたい。 そう考えながら進んで来た道が、これからあとに続く人のための道ともなってくれたらと願います。

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